オウンドメディアに取り組まれる企業が増えている中、オウンドメディアに興味はあるがなかなか踏み出せないといったお声も多く寄せられております。今回はオウンドメディア立ち上げから安定した運営フェーズまでどのような企業活動が必要かをまとめました。一つ一つ深くというよりは、概要をかいつまんで全体像を示します。
これから取り組もうとされている方も 、オウンドメディア運営に躓いてしまっている方もぜひ本記事をご覧頂きオウンドメディア成功までの道筋をイメージしていただき、実際の活動に役立てていただければと思います。
1.目的を決める
オウンドメディアを取り入れる前に、目的を明確にする必要があります。オウンドメディアは非常に長期間続けていくことが前提になるプロモーション手法であるため、途中で目的がぶれてしまったとしても修正をするのに時間がかかってしまいます。最初の段階でどのような目的で取り組むかを明確に定めましょう。
・見込み顧客を得る
・ブランディングを行う
・ユーザーとのコミュニケーションの場をつくる
上記は一部の例ですが、少なくとも該当ビジネスの成長イメージを載せていきましょう。
2.3C分析をおこなう
3C分析とは、市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を分析することを指します。
市場分析(Customer)
市場分析はその名の通り、自社プロダクト周辺の市場を調査し要素をはっきりさせることを指します。そもそも顧客はどのようなニーズを持って商品を購入するのでしょうか。その本質的なニーズが見えてくるまでプロダクト特性を深掘ります。
競合分析(Competitor)
Webサイトにおける競合は大きく2種類存在します。1.事業における競合と2.Web上における競合です。
事業における競合とは、Webにかかわらず顧客の獲得競争に置かれている競合企業です。店舗を構える飲食店や不動産、美容室などのビジネスではエリアが近く同じ業態の企業はこの事業競合にあたるでしょう。また、顧客層が重なるケースを指します。
Web上の競合とは、Webでの露出箇所が重なる競合企業を指します。例えば、はWeb上でおなじ「」というキーワードでの露出が考えられます。同じ属性のユーザーを取り合う可能性がありますので注目しなければならない競合サイトということに成増。
事業競合だけでなく、Web上の競合も見落とさないように、各サイトを分析していきます。
自社分析(Company)
市場と競合がはっきりした後に、自社の分析をすることも重要です。競合企業に比べて自社はどこが優れているか、もしくは違っているかを明確にしましょう。
3.コンセプトを決定する
目的が定まり、市場・競合・自社について深く知ることができたならば、次はコンセプトを決定します。3C分析で得たデータをもとに、目的到達まで一直線の方向性を描きましょう。
コンセプトを定める上で迷うことがあるかと思いますが、コンセプト設計は以下の3ステップで進めると比較的スムーズに進みます。
1.3C分析で得た自社の強みを書き出す
2.今後の事業の方向性を書き出す
3.1.と2.の中からテーマを絞り込む
上記の流れで効率的にテーマを決める一方で、関係者がわくわくするテーマに着地させるのも重要です。コンセプトを決める場には、なるべくプロジェクトメンバー全員が揃うようにして、フラットな話し合いのなかで進めていくと、メンバーのモチベーションを高く維持することができます。
4.ターゲットを明確にする
コンセプトにそって、ターゲットを決定します。そのコンセプトでどのような人に
ターゲットを取りこぼすようであれば、再度3の工程に戻りコンセプトを再設定しましょう。
注意しなければならないのが、コンセプトとターゲットがうまく噛み合っていないまま先に進んでしまうことです。
コンセプトとターゲットが完全に紐付かない場合、次の工程にすすんではいけません。3.と4.の工程を行き来しながら、納得のいく形に作りこむことをおすすめします。
5.目標を設定する
コンセプトとターゲットがしっかり設定できたら、数値目標に落としましょう。とはいえ、オウンドメディアにおいて何を目標におけばいいかわからないと言ったご相談をよく受けます。
目標はまずシンプルに以下の3つを置くと良いかと思います。
1.PV数
2.滞在時間
3.ユニークユーザー数
上記以外でも、細かく目標設定する場合は以下のKPIを定めるケースが多いです。
1.注力キーワードのSEO順位
2.流入キーワード数
3.Facebookページいいね!数
4.Twitterアカウントのフォロアー数
当然のことですが、目標が目的到達の道筋に繋がるように設定します。
6.キーワードを選定する
目標を設定し終えたら、続いてどのようなテーマで書くかをキーワードベースで洗い出します。キーワード選定には大きく2つの意味があります。
・どのようなコンテンツでサイトを構成するかが決定する
・どのようなキーワードでアクセスが集中するかが決定する
キーワードの種類については様々なサイトで説明がされていますが、
サイトの1年後、2年後までイメージしたキーワード設定ができると後々非常にためになります。
7.コンテンツカレンダーを作成
どのようなキーワードでコンテンツを作成するかを決めきったら、続いてコンテンツ投稿の段取りを定めます。コンテンツカレンダーとは聞き慣れない用語かもしれませんが、どの記事をいつ投稿するかを決め、カレンダーのようにスケジュールに落としこんだものを言います。
コンテンツカレンダーは、以下のような流れで作成するとスムーズです。
1.Webサイト更新頻度を決める
2.季節ごとのイベントを確認する
3.1.と2.を組み合わせて適切なタイミングで記事投稿ができるスケジュールを組む
Webコンテンツには季節性やトレンドが大きく影響するので、計画段階でしっかり時間をとって検討します。
8.動線を設計する
Webサイトの制作前に、ユーザー動線を設計しましょう。オウンドメディアは比較的シンプルな動線設計を心がけるほうがユーザーに好まれる傾向にあります。
動線設計は最低限いかの3項目が必要です。
・カテゴリ、タグなどを決めましょう。
・グローバルメニューとサイドバーの構成を検討する。
・その他リンク構造を検討する。
リンク構造はユーザーの行動を決定づけるものであり、かつSEOにも多大な影響が及ぶ要素ですのである程度時間をとって検討することをおすすめします。
9.Webサイトを制作する
計画が定まった段階で、Webサイトの作成に移ります。オウンドメディアのデザインは特にこれがよいと定まったものはありませんが、コンセプトを端的に表す形であるとよいかと思います。
Webサイト制作について、共通して言えることは、
・ユーザーが閲覧しやすいレイアウトであること
・SEO内部対策がしっかりされていること
・記事を定期的に配信する上で、操作性の高いCMSがつかわれていること
・Facebook・Twitter・はてなブックマークといった拡散のためのSNSボタンが設置されていること
この辺りは必須条件になります。
多くの企業は他企業にWebサイト制作を委託するでしょう。ディレクションには思っている以上の負担がかかりますが、こちらも納得の行くまで業者と協議し進める必要があります。
10.お問い合わせのしかけをつくる
Webサイトの制作工程に重なりますが、しっかりお問い合わせに繋がる仕掛けを作成しましょう。
・資料ダウンロード
・ランディングページ
等がお問い合わせのしかけに当たります。
資料ダウンロード
ダウンロード資料を作成する手間がかかりますが、情報収集のモチベーションが高いユーザーを問い合わせにつなげるには非常に有効です。本サイトも資料ダウンロードによる見込み顧客獲得の方式を採用しています。
ランディングページ
自社のアピールポイントをしっかり訴求できるランディングページを作成し、そこから直接企業への問い合わせにつなげます。来店を促す際は非常に重宝します。
11.Facebookページをつくる
Webサイトの制作に平行してFacebookページを作成しましょう。Facebookページは記事の拡散だけでなく、ユーザーとのコミュニケーションを活発にする効果も期待できます。
トップ画やプロフィール画像はオウンドメディアのコンセプトに沿っていて、かつ印象に残るものを選ぶとよいでしょう。
12.Twitterアカウントをつくる
Facebookページと同様にTwitterアカウントも重要です。コンテンツのシェアにおいて、Twitterは非常に心強い武器になります。アカウント作成は非常に簡単な手順で完了することができます。
1.登録項目を入力する(氏名・メールアドレス・パスワード・ユーザーID)
2.オプションを選択し、リストの中からアカウントをフォローする
3.確認メールを認証する
上記の手順で、Twitterアカウントを作成しましょう。
ちなみにフォローするアカウントは作成しているオウンドメディアと同一テーマのものをフォローすると運用の際に便利です。
13.コンテンツを作成する
Webサイトを無事オープンさせることができたら、続いてコンテンツを制作します。
コンテンツの制作方法は多数ありますが、
・内製するケース
・外注するケース
で大きく変わってきます。
内製するケースに関しては、ライティングの担当者を社内に置き
外注するケースですと、要望通りの記事を上げてくるかをしっかりマネジメントするディレクション機能が重要になってきます。
14.コンテンツを投稿する
コンテンツが制作できたら、サイトにアップロードします。
コンテンツの投稿はお使いのCMSによって動作が違います。
以下、コンテンツ投稿前にチェックしておきたいこととして、
・URLがシンプルになるように設定できているか
・画像や見出しがずれていないか
・OGPタグが適切に設定されているか
などに注意すると、ミスなくSEOやSNS拡散にも比較的有利な形の記事投稿が可能です。
15.コンテンツを拡散する
コンテンツを作成し、サイトにアップロードしてもそれだけではアクセスは集まりません。ユーザーに見てもらえるよう、記事を拡散させる必要があります。その時に大活躍するのが、Facebook・Twitterを始めとするSNSです。
11.の工程で作成しておりますFacebookページで、投稿した記事のURLをシェアします。また、同時に12.の工程で作成したTwitterアカウントで記事のURLをツイートします。少々手間にはなりますが、コメント付きでシェアしたほうが効果は高まる傾向にありますので実践してみてください。
16.効果を測定する
記事の作成・投稿を繰り返すことによってオウンドメディアは運用。しかしながら、オウンドメディアを効果的にビジネスに活用する上で、効果測定は非常に重要です。
効果測定は2つに分けて行うと情報が整理されます。
・Webサイト単位での効果測定
・記事単位での効果測定
サイト全体と記事1つ1つのパフォーマンスを区別して効果を見ることで、サイトの運用方法改善に正しく役立てることができます。
17.目標との差を追跡する
効果測定でえられたデータを蓄積し、サイト運営に役立てる必要があります。
記事の投稿を続けながら、常に企画段階で設定した目標との差を追跡します。
目標値に対してどの点が足りていて、どの点が不足しているのかを日ごとにチェックして
プロジェクトメンバー全員が閲覧できるよう見える化しておきましょう。
18.問題点を特定する
目標との差が生まれた場合早い段階で手をうつ必要があります。早急に問題箇所を特定しましょう。
問題点は各所に散在するケースがほとんどですが、まずは
・目標記事数に到達しない
・目標記事数は進捗通り進んでいるものの、目標とするKPIに届かない
・PV目標を達成しているものの、最終ゴール(お問い合わせなど)が目標に届かない
などの問題に分解し整理できるかと思います。
上記のような形で問題を整理してから、さらに問題箇所を細かくしていくと改善しやすい形に問題を特定できます。
19.改善策を実行する
18.の工程で問題点を特定したら、それに対する改善策を考え実施します。この時に、いろいろな問題点に対し同時に施策を走らせると頓挫しやすい傾向にあります。
一過性の実施策と継続的に行う施策を分けて整理したうえで、スケジュールにおとし走り出すとスムーズに進みます。
18.に記述した問題点に対する改善策の例を並べるなら、
・記事生産体制の改善(ライターの確保・記事の外注検討など)
・記事生産量を変えず、記事の質や1記事あたりの情報量を改善
・記事生産を大きく変えることはせず、サイトの導線・もしくは呼びこむユーザーの属性を改善。
などが一般的にあげられるかと思います。
Webサイトのローンチ後は13から19の工程を継続的に繰り返します。PDCAサイクルを速く回せば回すほどプロジェクトは良い方向に進みますので、運用が仕組み化されたあとも出来る限り見直しの機会を設けると良いかと思います。
まとめ
今回は0の状態からオウンドメディアを立ち上げ、成功させるための工程をまとめました。いかがでしたでしょうか。上記はどの業界、職種においても共通して使えるフレームワークだと考えております。
上記の流れに沿って、かつ緻密な計画と愚直な記事作成と改善の連続が価値あるオウンドメディアを生み出すのだろうと筆者は考えております。ぜひ貴社のオウンドメディア運営にもお役立てください。
提供:株式会社ネクストマーケティング